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「高血圧の診断(高血圧治療ガイドライン2014に基づいて)」

ガイドライン改定に伴い、外来診療でしばしば血圧をそんなに下げなくてもいいのでは?とか、私は高血圧ではないから薬を減らしたいといった質問を受けます。話を聞いててみると新聞にそう書いてあったから....、というのが大半の理由でした。そのため、降圧薬の内服を拒否する人まで出てきているようです。正直これはよくない傾向だと感じています。ガイドラインではそれぞれ臓器疾患(脳血管障害・心疾患・腎疾患・血管疾患)を合併する高血圧や他疾患(糖尿病・脂質異常症・肥満・メタボリックシンドローム、睡眠時無呼吸症候群、痛風・高尿酸血症、気管支喘息および慢性閉塞性肺疾患、肝疾患)を合併する高血圧、高齢者高血圧の降圧目標を細かく定義しています。もちろん患者さんはそのことをよく知らなくて当然です。決して新聞が間違っているわけではありませんが、やはり正しい情報と知識が必要です。ガイドラインに基づいて高血圧の診断について説明します。

血圧計に表示される「収縮期血圧」とは、心臓が血液を送り出すために心臓が収縮した時の圧力のことで、最大血圧、最高血圧ともいいます。一方、「拡張期血圧」とは、心臓が拡張した時の圧力のことで、最小血圧、最低血圧ともいいます。この「収縮期血圧」と「拡張期血圧」を測ることで血圧の正常値に当てはまっているかどうかを把握することができます。

高血圧治療ガイドライン2014では家庭血圧の正常値は、収縮期血圧が135mmHg未満、拡張期血圧が85mmHg未満です。一方、診察室血圧の正常値は、収縮期血圧が140 mmHg未満、拡張期血圧が90 mmHg未満です。高血圧治療ガイドライン2009では家庭血圧の正常値は、収縮期血圧が125mmHg未満、拡張期血圧が80mmHg未満です。一方、診察室血圧の正常値は、収縮期血圧が130 mmHg未満、拡張期血圧が85 mmHg未満だったので一見緩和されているように感じます。
また、動脈硬化(血管の弾性が失われて固くなったり、コレステロールなどが血管内に沈着し狭窄すること)も血圧上昇の原因となります。動脈硬化により血液が流れにくくなり、血圧が上がります。すると、さらに動脈硬化が進展し悪循環になります。

本邦を含めた世界のガイドラインのいずれにおいても、140/90mmHg以上を高血圧とすることは共通です。しかし、高血圧治療ガイドライン2014では正常域血圧をさらに正常高値(130-139 /85-89mmHg)、正常血圧(120-129/85-89mmHg )、至適血圧(120/80mmHg未満)と亜分類されています。至適血圧と比べると、正常血圧、正常高値血圧の順に心血管病の発症率が高いことが、欧米の観察研究のみならず本邦の研究成果からも示されています。また、正常血圧、正常高値血圧は生涯のうちに高血圧へ移行する確率が高いことが明らかとなっています。本邦の久山町研究においても収縮期血圧が120mmHg未満、拡張期血圧80mmHg未満での心血管病の累積死亡率が最も低く、収縮期血圧140mmHgは120mmHg未満に比し、また拡張期血圧90mmHg以上は80mmHg未満に比較し高齢者を含めて脳卒中あるいは心血管病のリスクが有意に高いことが示されています。

以上より140/90mmHg以上のすべての患者様は高血圧治療の絶対適応であり、さらに至適血圧を目指すのがより良いことが証明されています。高血圧治療ガイドライン2014ではその他にも詳細なガイドラインがエビデンスに基づいて作成されています。間違った解釈により心血管病、脳卒中を増加させることはあってはならないことです。

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