日常での傷の処置
日常のちょっとしたシーンでもつくってしまう傷。
料理中に包丁で切ってしまう切り傷、転んだ時のヒジやヒザなどのすり傷、冬場に水仕事などが原因で起こる指のささむけなど、さまざまです。
傷の治療というとひと昔前は消毒をする→乾燥させる→かさぶたをつくる、という順番で治すのが主流でしたが、傷は消毒して、ばい菌の繁殖を抑えた方がよいというのは間違いです。
傷があると皮膚のバリアがないため、消毒するとばい菌だけでなく、皮膚の細胞まで死んでしまいます。すると、傷はさらに深くなり、治りにくくなってしまうのです。
今主流になっているのが「モイストヒーリング(湿潤療法)」。傷を早く治し、跡が残りにくく、痛みをやわらげる処置法です。
下記は処置の仕方の一例です。
一度試してみてください。
【傷で出血した場合の家庭での処置の仕方】
- ① 圧迫止血
- ② 血が止まったら水道水で異物や菌を洗い流す
- ③ 水気をふき取る。(まだ出血があれば傷口をおさえてしっかり止血)
- ④ 体液が乾かないうちに専用パッドを張り、手で押さえて密着させる
- ⑤ このまま3~4日貼ったままにしておく
傷口からしみ出す体液は、皮膚の再生に重要な役割を果たします。
この自然の治癒力を活かす湿潤療法の有効性が、20世紀半ばを過ぎて認識されはじめました。
現在では、湿潤環境を維持して治癒を促進する創傷(そうしょう)被覆材(ひふくざい)も数多く市販されています。
ただし、化膿して膿が出ていたり、壊死組織がついた傷、出血が止まらない傷に創傷被覆材を貼るのはよくありません。
このような場合は、必ず医師に相談しましょう。